年をとると身体機能などに衰えが出て、怪我や病気になりやすくなります。その怪我や病気が原因で命が脅かされることもあるため、高齢者と関わることの多い家族や介護士は、高齢者の不調の訴えを真っ先に聞き取ったり、心身の異常を瞬時に察知することが大切です。また知識を身につけておくことで、高齢者の身体に異常を認めれば速やかに救急対応し、病状の悪化や重症化を防ぐことが可能できるようになるため、高齢者がなりやすい怪我や病気について理解しておきましょう。

まず循環器系の病気では、虚血性心疾患が高齢者には目立ちます。いわゆる心臓病と呼ばれるもので、狭心症や心筋梗塞などが代表的。狭心症の痛みは基本的に数分間でおさまるのが通常ですが、心筋梗塞の場合には長く続く上、そのままでは命にも関わります。したがって高齢者に心筋梗塞の発作を認めたら、直ちに救急対応すると同時に、医療職へ通報しなければなりません。

高齢者がかかりやすい病気としては、呼吸器系の疾患も見逃せないでしょう。特に気をつける必要があるのは、誤嚥性肺炎です。これは唾液や食物を誤って気管に飲み込んでしまい、そこから細菌が肺に感染していく病気。嚥下や噛む力が弱った高齢者に発症しやすいことで知られ、普段から細心の注意が必要です。例えば食事では誤嚥しにくい食材を使用したり、肺に負担がかからないように環境整備する、また家族や介護士も手洗いやうがいを徹底するなど、あらゆる対策が求められます。