感染症の流行や自然災害などにより、動かない状態や動きたいのに動けない状態が継続することで起こりやすいのが生活不活発病です。生活不活発病とは、身体を動かす機会が減ることで心身機能が低下し、動けなくなってしまうことをいいます。生活不活発病になると、すぐに疲れたり、日常生活を送るための動作や歩行が難しくなります。その結果、フレイルが進んでしまうのです。

フレイルとは、加齢によって筋力や認知機能などが低下して、入院や要介護のリスクが高まる状態のことを指します。身体が動かなくなるだけでなく、心や頭の働きにも影響を及ぼすことから、うつ状態になったり合併症を引き起こすリスクもあるのです。そのまま介護が必要になってしまうことも少なくありません。つまり生活不活発病は介護が必要になるきっかけの一つといえるのです。介護を予防するためにも生活不活発病に関する医療知識を持つことが大切といえるでしょう。

生活不活発病とフレイルは悪循環で発生し、進行します。つまり、家に閉じこもり動かないことで心に元気がなくなり、動きたくなくなります。すると、運動機能が低下して動けなくなり、さらに家に閉じこもってしまうのです。このような負の連鎖を断ち切り、生活不活発病の予防や改善をおこなうために大切なことは、活発な生活を送ることです。

そういっても、単に身体を動かせばよいというわけではありません。家庭の中で役割を持ったり、趣味を楽しんだり、地域活動に参加するなどして、社会や人と繋がりを持つことが重要なのです。そのうえで、毎日の生活の中でなるべく身体を動かすように心がけることが、健康につながります。本人だけのがんばりでは限界がありますから、家族や地域の人、ボランティアなどが一緒になってサポートすることが重要です。